
「ラインアート シャルマン 銀座並木通り」 スタッフが聞く Vol.12
「ラインアート シャルマン 銀座並木通り」
スタッフが聞く Vol.11
「強度近視だから仕方ない」を変えたかった。
― お客様の悩みとスタッフの想いが生んだ、強度近視メガネ開発の舞台裏 ―


自身も強度近視という悩みを抱え、現場で寄せられたお客様の声と自身の経験を社内へ届け、強度近視シリーズの開発につなげた。



0.01mm単位まで寸法を追求し、快適な掛け心地と洗練されたデザインを両立した新作モデルをデザイン。
提案の原点は、『自分自身が困っていた』という切実な思い
藤岡:
ラインアートの強度近視シリーズの始まりは、長谷川さん自身の悩みだったそうですね。
長谷川:
はい。私自身、強度近視で、さらに瞳孔間距離(PD)が58mmと狭く、自分に合うメガネが見つからず、ずっと悩んできました。
藤岡:
ご自身も当事者だったからこそ、この課題を誰より身近に感じていたんですね。
強度近視のお客様を接客される機会も多かったのでしょうか。
長谷川:
はい。以前勤めていた眼鏡店でも、強度近視のお客様を多く担当していました。
強度近視のレンズを薄く自然に仕上げるには、レンズ幅が狭く、お客様の瞳孔間距離(PD)とフレームの中心間距離(FPD)が合うフレームを選ぶことが重要です。
そのため、何百本ものフレームの中から条件に合 う一本を探し、「このフレームならきれいに仕上がります。」とご提案していました。でも、それは裏を返せば、「このメガネしかありません。」とお伝えする接客でもありました。そのことが、ずっともどかしかったんです。
藤岡:
「選ぶ」というより、「選ばざるを得ない」状況だったんですね。
長谷川:
そうなんです。

強度近視の人は、『好きなデザインを選ぶこと』を諦めてきた。
藤岡:
この店でも、同じようなお悩みを持つお客様は多いのでしょうか。
長谷川:
本当に多いです。
強度近視の方は長年、「このデザインしかありません。」と言われ続けてきました。
一般的なデザインを選べばレンズは厚く重くなり、目は小さく見え、輪郭もゆがんで見えてしまう。
一方で、レンズを薄くしようとすると、横幅の小さい個性的なフレームしか選べません。
見た目も機能も、どちらかを諦めなければならない。それが当たり前になっていました。
藤岡:
"好きなデザインを選ぶ"という、ごく当たり前のことが難しかったんですね。
長谷川:
はい。
仕上がった眼鏡を掛け、鏡を見た瞬間に表情が曇るお客様を、私は何度も見てきました。
だからこそ、『強度近視だから仕方ない』という諦めをなくしたかったんです。
見た目も掛け心地も妥協せず、本当に掛けたい一本を選んでいただきたい。
その想いを現場の声として社内へ届けたことが、強度近視シリーズの商品開発につながりました。
レンズ幅とレンズの厚み関係


掛けた時の見た目の違い


0.01mm単位の設 計が、『かけたいメガネ』を実現した。
藤岡:
その想いが形となり、ラインアートの強度近視シリーズが誕生しました。
発売から5年。今ではブランドを代表するシリーズの一つになっています。
小西さんご自身にも今回の開発で感じていたことはありましたか。
小西:
私自身は強度近視ではありませんが、顔幅が細くPDも58mmと狭いため、自分に合うサイズのフレームになかなか出会えず、いつも歯がゆさを感じていました。
今回の新作は、そんな私にもシンデレラフィットなんです。
だからこそ、強度近視の方だけでなく、私のようにサイズ選びに悩む方にも自然にフィットする一本を目指しました。
藤岡:
ご自身の実感も設計に反映されているんですね。
具体的には、どのような点にこだわったのでしょうか。
小西:
最も難しかったのは、レンズ幅を44mmまで小さくすることでレンズを薄く軽く仕上げながら、『強度近視用』と感じさせない自然なデザインにまとめることでした。
さらに、小ぶりなサイズでも頭部を包み込める横幅を確保し、窮屈さを感じにくいかけ心地を実現しています。
テンプルの厚みや断面形状を0.01mm単位で調整し、重心を後方に移すことで、レンズの重さを感じにくい快適なバランスに仕上げました。
藤岡:
見た目だけでは分からない部分に、そこまで細かな工夫が詰まっているんですね。
小西:
シェイプは 人気のクラウンパントをベースに、細身でシンプルなデザインに仕上げました。新作「XL9」は業界最細クラスとなる0.7mmリムを採用し、知的で洗練された印象に。
「XL10」はアセテート素材でありながら、独自のリム構造によってレンズの厚みを自然に目立ちにくくしています。
どちらも、『強度近視だから選ぶメガネ』ではなく、『かけたいから選ぶメガネ』を目指しました。

鼻幅、数ミリの違いが、レンズの厚みを左右する。
藤岡:
そして、シリーズ最大の特徴が、『選べる鼻幅』ですね。
小西:
はい。
開発部・設計課をはじめ、関係部署で試行錯誤を重ねた結果、ひとつのサイズですべてのお客様に合わせるのではなく、モデルごとに鼻幅の異なるパーツを2~3種類展開する設計にたどり着きました。
一人ひとり異なるPDにきめ細かく対応することで、レンズの中心位置をより理想的な位置へ近づけることができ、自然で美しいかけ姿を実現します。
わずか数ミリの違いですが、その差が見た目や快適性を大きく左右します。
長谷川:
こ の設計によって、レンズの最も厚くなる部分を抑えられるため、目が小さく見える印象も軽減できます。
お客様が鏡をご覧になった瞬間、「こんなメガネが欲しかった。」とおっしゃってくださることがあります。
その一言をいただくたびに、この商品を実現できて本当に良かったと感じます。
北海道など遠方から、新作を目当てにご来店くださるお客様もいらっしゃいます。
それだけ、このシリーズを待ってくださる方がいるのだと実感しています。
藤岡:
現場でその言葉を聞けるのは、開発に携わった皆さんにとって何より嬉しい瞬間ですね。
『かけたい』を叶える挑戦は、これからも続く。
長谷川:
強度近視だからと、おしゃれを諦める必要はありません。
メガネは、視力を補う道具であると同時に、自分らしさを表現するものでもあります。
好きなデザインを選び、鏡を見ることが楽しみになる。
そんな体験を、一人でも多くの方に届けたいと思っています。
小西:
「好きなデザインを選べてよかった。」「鏡を見るのが楽しみになった。」
そう感じていただける一本を、これからもつくり続けていきたいですね。
藤岡:
お客様の悩みに向き合い、その想いを社内へ届けた現場スタッフ。
その声に応えた企画・デザイン・設計、そして製造現場の技術。
多くの人の想いと挑戦が重なり、『強度近視だから仕方ない』という常識を変える一本が生まれました。
本日は貴重なお話をありがとうございました。

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