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【眼鏡とレンズのお話】Vol.11 偏光レンズについてのお話

更新日:2023年10月11日



意外と知らない、眼鏡やレンズの正しい知識を得ることは、ご自身の目や視力をいたわることに役立ちます。健康で快適な視生活を送るための参考にしてみてください。



「眼鏡とレンズのお話Vol.8、Vol.9、Vol.10」にて、カラーレンズや

調光レンズのご紹介をしてきました。 今回は「偏光(へんこう)レンズ」についてのお話です。 色が変わるという意味で「変光レンズ」と言う当て字を思い浮かべてしまい、Vol.10の調光レンズと混同なさってしまう方もいらっしゃるので、「偏(かたよ)る光」の偏光レンズを詳しくご案内いたします。



 

1.偏光とは?

太陽や照明器具などから出る光は色々な方向に進んでいきます。これを非偏光もしくは無偏光と言います。 その光が空気中の微粒子などに当たって錯乱したり(錯乱光)、ガラスや水面などで反射して規則的な方向になることを「偏光」と言います。 つまり、光が何かにぶつかることで進行方向が決まり、「光が偏っている状態」になるのです。 レーザービームなどが偏光の代表的な実用例です。 映画館やテーマパークで使用される3Dも偏光の技術を用いているものがあります。



人間の目には眩しい時に瞳孔の大きさを変化させ目に入る光の量を調節する機能がありますが、ガラスや水面などで反射した偏光は、角度によってちらつきや乱反射、テカリとして感じる為、自然光よりも眩しく感じてしまいます。


 

2.偏光レンズとは


レンズの間に偏光フィルムと呼ばれる特殊なフィルムを挟んで作るものや、レンズ表面にコーティングとして偏光を制御する機能を施したレンズです。 メーカーや販売店によって取扱商品や色の種類が違いますが、度付きでも度無しでも作ることが出来て、レンズに使われる素材もさまざまです。 ガラス製の偏光レンズもあれば、ポリカーボネイト製の偏光レンズもあります。 ガラス面や水面などに反射した光(偏光)をフィルターやコーティングで制御し、眩しさを軽減してくれ、どのタイプの偏光レンズでも効果にほとんど差はありません。



2-1可視光線透過率と偏光度


偏光レンズの見え方の差として比較出来る数値に、可視光線透過率と偏光度があります。 可視光線透過率とは、光を通す割合のことで、0~100%の数値で表されます。 透過率が低く(0%に近く)なれば光をカットし、高く(100%に近く)なれば光を通します。 カラーレンズの濃さで言うと、透過率が0%に近くなれば色が濃く、100%に近くなれば色が薄くなっています。

偏光度とは、偏光(反射光)を遮る割合の事で、透過率と同様に0~99%の数値で表記され、「偏光度90%以上のものが偏光レンズ」と言う定義があります。 可視光線透過率と偏光度には反比例の関係があり、偏光度が高くなるほど可視光線透過率が低くなり、可視光線透過率が高くなれば透過率は低くなります。 そのバランスが偏光レンズを選ぶ際に重要になってきます。



2-2偏光レンズのカラー

レンズメーカーや販売店によって様々な色の偏光レンズの取り扱いがあります。 Vol.8のカラーレンズのお話でも触れていますので、色の役割についてはそちらをご覧ください。


2-3偏光レンズの紫外線対策

もちろん、偏光レンズでも紫外線対策は出来ます。ほとんどの偏光レンズにはUVカットが施されていますが、Vol.9の紫外線のお話でもご紹介している通り、UVカット加工なのかUVカット素材なのかによってレンズの寿命が変わってきます。



2-3偏光レンズの寿命


偏光レンズには寿命と言えるものがあります。 偏光フィルターを挟んで作られている偏光レンズでは、使用環境や使用頻度にもよりますが、2~3年程でレンズの周辺部から色むらが見られてきます。 これは、偏光フィルターとレンズを接着している部分が剥離してしまい、偏光機能も劣化している状態です。主な原因は熱によるレンズの変形と、水分がフィルター部分に侵入することにあります。 コーティングタイプの偏光レンズで、寿命を短くしてしまう一番大きい原因はレンズ表面のキズです。 こちらは、使用期間に関係なく、砂やほこりが付いたままレンズを拭いてしまう、硬いものにぶつけてしまうなどでレンズ表面に出来たキズからコーティングが剥がれてしまい、偏光機能が劣化してしまいます。 偏光機能が劣化した状態でそのままお使いになると見え方にも影響しきますので、早めに買い替えのご検討をしましょう。



 

3.偏光レンズの注意点



最後に、偏光レンズ使用時の注意点をご案内いたします。




◎自動車の運転時には、ご注意ください。

※トンネル通過時や、夜間・夕暮れ時の運転中の着用はお控えください。




ほとんどのサングラスと同様、偏光レンズも夜間・夕暮れ時やトンネル内の運転には使用しないで下さい。光量不足で視力が低下します。

JIS規定では、可視光線透過率(視感透過率)75%未満のレンズにおいて、薄暮又は夜間時における運転用又は路上での使用は禁止されているため、透過率75%以上のレンズを選ぶか、メーカーが夜間運転用としているレンズを用いた偏光サングラスを利用するようにしましょう。

​また、自動車のガラスの種類によっては、強化ガラスの歪みまで見えることがあります。そのような場合は視界が悪くなりますので、使用しないで下さい。




◎液晶パネル部分が見えにくい場合があります。



スマートフォンやパソコン、カーナビのモニターなどを偏光レンズが入ったサングラスをかけた状態で見ると画面が真っ暗になる、もしくは見えにくくなる事があります。この現象は、液晶パネルや液晶機器自体にも偏光板が使用されている事が原因で起こります。見る角度によって見え方が変わりますので、ご購入時に見え方を確認していただく事をお勧めします。




◎レンズ表面の傷付きや、温度差のある場所にご注意ください。

コーティングタイプの偏光レンズは、レンズ表面のキズやコートハガレにより偏光機能が失われます。

また、急激な温度差や高温(約60℃以上)にさらされると、コーティングや偏光フィルムの不具合の原因になります。高温になる車内や砂浜、暖房器具、火の近くには置かないでください。冷蔵庫のような低温になる場所や酷寒の冬季に使用する場合も、コーティングの不具合の原因となる恐れがありますので、使用をお避けください。




◎水洗いについて、ご注意ください。


偏光フィルムをレンズの間に挟んで作成している偏光レンズは、水や超音波洗浄機に浸したままにすると偏光フィルムに水が浸入し、レンズ周辺が変色、劣化、剥離する恐れがあります。

レンズに水がついた場合はすぐに拭き取って、よく乾かしてください。 フレームに水滴が溜まったままケースに密封すると、レンズを蒸らしてしまう恐れがあります。


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